今週のお題「鍋」
私が大学生のときのことです。ある年の冬、部室で誰かが言い出しました。
「鍋をしましょう。普通にやっても面白くない。
闇鍋にしましょう」
ご存知ない方のために申し上げると、闇鍋の手順は次の通りです。
各々が鍋の具を隠して持ち寄る。具が何かは秘密だ。暗闇の中、鍋に具を放り込む。皆で鍋をつつく。何が出てくるかは食べるまでのお楽しみ。そして皿に取った物は食べなければならない…。
私は持ってきた具が人とかぶったら嫌だなあ、珍しい具にしたほうがいいかも、と考えていました。他の方は違うことを考えていたようです。化学部の先輩が化学部らしい理由で闇鍋に異を唱えました。
「化学反応が起こるかもしれない。やめたほうがいい」
的を得た指摘に一同皆、納得しました。闇鍋の話はたち消え、それ以降二度と出ませんでした。
それにしても鍋の具で化学反応が起こるって…、一体皆何を持ち寄るつもりだったのでしょうか。結局、恐ろしくて訊けずじまいでした。
