今週のお題「お父さん」
幼い日の父の思い出。それはある年のバレンタインデーのことでした。女性の多い職場で働く父は、毎年たくさんの小さなチョコをもらっていました。父はため息をついてこう言いました。
「全部義理チョコだ!」
小さかった私は義理チョコの意味がわかりませんでした。父にその意味を尋ねると、にっこり笑って教えてくれました。
「義理チョコっていうのは、年上の女の人からもらうチョコのことだよ」
私は納得して、父は年上の人にモテるのかなと思いました。
それから何年か経って、義理チョコの真の意味を知りました。あれは嘘だったのね、おとーさん。本命チョコを一個ももらえなかったって言いたくなかったのね。ってか、本命チョコを欲しかったのか?欲したかったのね。
まったくしょうもない嘘をついて…。見栄っ張りな父の思い出でした。