今週のお題「忘れたいこと」
小学生だった昔のある日のことです。いつも通り学校に行こうとして靴を履いたら、指先に痛みが走りました。何かが指に当たった感触でした。靴の中を見ると信じがたい光景がありました。
私の靴の中にザリガニがいました。
いくらなんでもおかしいでしょ。水槽の中にいるザリガニが自分で玄関にある靴に移動するわけがありません。誰かが故意にやったのです。
私にはふたりの妹がいます。ふたりともいたずらっ子です。ふたりとも自分はやってないと言いました。どっちも怪しい。
あれから数十年が経ちました。月日が流れてもあの日のザリガニのことは忘れません。甲殻類を見るたびに、いえ、見なくたって、靴の中にいたザリガニを思い出してムカッとくるのです。だから私は今でもふたりに会うと問い詰めます。けれど返ってくる答えは同じです。
「私はやってない」
納得がいきません。どっちがやった？あるいはふたりがグルになってやった？真実は藪の中…。
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